管理美容師とは?資格の取得方法や流れを現役美容師が徹底解説

  • 管理美容師の資格はいつ必要になるの?
  • 資格の取得方法が知りたい

現在美容師として働いている方の中で、このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。資格を取得した後に、管理美容師が美容室でどのような業務を担うのかも気になりますよね。

本記事では、管理美容師の資格がいつ必要になるのか資格を取得するまでの流れなどを現役美容師の筆者が徹底解説していきます。

終わりには、2024年度の資格認定講習会の日程を都道府県別に載せていますので、資格取得を検討中の方はぜひ参考にしてくださいね。

この記事を読むことで、管理美容師について理解を深められるので、自身が資格を取得するべきなのか判断することができますよ。

管理美容師とは?

管理美容師とは、公衆衛生と衛生管理に関する専門的な知識を持つ美容師のことを指します。

管理美容師は、他の美容師と同じようにお客様への施術業務に加えて、お客様の安全を守る衛生管理や環境設備の業務を行う役割を担っています。

管理美容師に限らず美容師として働く者は、お客様の頭皮や髪の毛に直接触れて至近距離で施術を行うので、日常的にハサミやコームなどの器具の消毒・洗浄を行わなくてはいけません。

また、美容室ではパーマ剤やカラー剤などを使用して施術を行うため、定期的に換気を行い新鮮な空気が循環している環境作りが大切です。

定期的に室内の設備や器具が清潔に保たれているかなどのチェックを行い、適切な衛生管理を続ける意識をスタッフに指導する役目も果たします。

店内の衛生管理が不十分だと、お客様やスタッフが感染症に感染してしまうリスクがあるため、お店の運営には管理美容師の資格の知識が必要なのです。

管理美容師の資格はいつ必要なのか?

管理美容師の資格が必要なのは、常時2人以上のスタッフが居る美容室を開業する場合です。

美容師法第12条の3では、「美容師である従業員の数が常時2人以上である美容所の開設者は、その美容所を衛生的に管理させるため、美容所ごとに管理者を置かなければならない」とされています。

開業して1人で美容室を経営していく場合は、管理美容師の資格を必ずしも取得する必要はありません。

しかし、お店が軌道に乗ってアシスタントやスタイリストを雇うことになれば、講習会に参加して管理美容師の資格を取得するか、資格を持っているスタッフを雇う必要があります。

オーナーが必ずしも資格を取得しておかなければならない決まりは無いですが、雇いたいスタッフが資格を持っていない可能性もあるので、自身が保持していると雇用がスムーズに行えますよ。

管理美容師を配置しないと罰則がある?

管理美容師の配置が必要なお店にも関わらず、不在のまま営業を続けていると違法営業と見なされ罰則を科せられる事があります。

従業員が2人以上在籍しているのに管理美容師が不在の場合は、30万円以下の罰金を支払わなければならなくなるので注意しましょう。

また、管理美容師は1店舗につき1名必要なので、複数の店舗に名前を貸出することは禁止されています。保健所に虚偽の届出をした場合や、環境衛生監視員の衛生検査を拒んだ場合は、期間を定めた閉鎖命令が下される可能性があります。

美容師法に従って管理美容師を配置して、罰則を受けないように適切にお店を運営することが大切です。

管理美容師の資格を取得するメリットとは?

管理美容師の資格を取得することで、自身が得られる2つのメリットについて解説していきます。

衛生管理の専門的な知識が身に付く

基本的な衛生管理の知識は、国家試験の科目でもあるので美容師免許取得の際にも学びますが、管理美容師の資格を取ればより詳しい専門的な知識を身に付ける事ができます。

正しい衛生管理ができれば店内が常に清潔に保たれるので、スタッフやお客様が快適で安心して過ごせる空間を作ることができます。

店内が隅々まで清潔だと、お客様が快適に過ごせるので総合満足度もアップし、また来たいと思ってもらえるようになり、リピート率にも繋がりますよ。

転職する際に有利になる

管理美容師の資格があれば、転職して新しいサロンで働く際に採用される可能性が上がります。

なぜならば、美容室の運営において店内の衛生環境がとても重要だからです。そのため、一般的な美容師よりも衛生管理・公衆衛生についての知識量が多く、管理美容師の資格を持っている人材を求めているサロンが多くあるのです。

同時に2人の美容師から応募があったとして、美容師歴や技術レベルが同等であれば、管理美容師の資格の有無が最終の採用要素の1つになることも少なくありません。

求人サイトでも管理美容師の資格保持者を募集しているサロンが多く、資格を保持しているだけで転職の際に有利になるのです。また、自己PRとして衛生管理の知識量が多いことを強みとしてあげることができます。

管理美容師の資格を取得すると給与アップや昇格できるサロンもあるので、資格を取得したことによるデメリットは無く、メリットのほうが多いですよ。

管理美容師の資格取得の条件は?

管理美容師になるには、以下の条件をクリアする必要があります。

  • 3年以上美容の業務に従事する
  • 管理美容師資格認定講習会を受講する

では、それぞれ詳しく解説していきます。

3年以上美容の業務に従事する

日本国内において美容師免許を取得してから3年以上、美容業務に従事している必要があります。美容学生の間に衛生学を学びますが、実際に美容室で働きながら得る知識や気付きが多くあると思います。

どのような状況や場面に危険リスクが潜んでいるのか、働いてみて自身で体験するために実務3年という期間が必要なのです。

管理美容師資格認定講習会を受講する

管理美容師の資格を取得するには、厚生労働大臣の定める基準に従い都道府県知事が指定した講習会を受講する必要があります。

具体的には、公益財団法人「理容師美容師試験研修センター」が実施する、管理美容師資格認定講習会を3日間で計18時間の課程を修了することで資格を取得することができます。

管理美容師資格認定講習会を受けるまでの流れとは?

ここでは、管理美容師資格認定講習会を受けるまでの流れを解説していきます。

公式サイトから受講の申し込みをする

公益財団法人「理容師美容師試験研修センター」の公式サイトから、希望する都道府県の講習会を選択し、募集期間内にエントリーフォームからWEBまたは郵送のどちらかの方法でエントリーを行います。

webだとネット上で完結しますが、郵送だとエントリー用紙を印刷する必要があるので早めに準備しておく必要があります。

エントリーは先着順ではないですが、募集期間が短いので早めにエントリーしておくことをおすすめします。

募集予定人数を超えた場合は抽選となり、当選者には「申込書類一式」が届き、落選者には「抽選が外れた旨の通知」が登録住所に郵送されます。落選された方は、次の日程の講習会に再度エントリーをしましょう。

受講申込書類を作成する

まず初めに、届いた書類一式の中身に漏れがないかを確認しましょう。申込書類一式は以下の通りです。

  • 管理美容師・管理美容師資格認定講習会受講のご案内
  • 受講申込書用紙
  • 払込取扱票用紙
  • 業務従事証明書用紙
  • 受講者写真票用紙
  • 受講申込書返信用封筒

足りない書類があればすぐに問い合わせをして再送してもらいましょう。

申込書類が一式揃っていれば、「管理理容師・管理美容師資格認定講習会受講のご案内」に沿って準備をしていきます。


受講申込書用紙

全ての必要用紙の作成が完了したら、受講申込書用紙の所定の位置に糊付けします。

払込取扱票用紙

講習会の受講料は¥20,000と定められており、期日までに払込取扱票用紙に従って支払いを済ませましょう。

業務従事証明書用紙

業務従事証明書は、3年間美容業に従事している事を証明するために必要になるので、講習会に参加する事が決まれば早めに勤務先に依頼して発行してもらう事をおすすめします。

証明者の(雇用主)が必要になるので、忘れずに押してもらいましょう。

一箇所で3年に満たない場合は、過去に勤めていた美容室で証明書を発行してもらって合算することが可能です。

受講者写真票用紙

縦4.5㎝横3.5㎝のパスポートサイズの写真を用意しましょう。正面・無帽・無背景であり、申込書提出前6ヶ月以内に撮影されたものを、受講者写真票用紙に貼ります。

美容師免許証の写し

美容師免許証の写しを1枚添付する必要があるので、紛失した方や登録事項の氏名・本籍地都道府県に変更がある方は、あらかじめ手続きを行っておきましょう。

受講申込書返信用封筒

全ての書類に記入漏れや貼り付け漏れが無い事を確認したうえで、必ず期日までに簡易書留で郵送しましょう。

管理美容師資格認定講習会の内容とは?

管理美容師資格認定講習会の内容は、「公衆衛生」と「理・美容所の衛生管理」の2科目です。
合計18時間の講習を3日間に分けて受講します。受講後に試験はありませんが、3日間で学んだ内容をまとめてレポートに記入して提出する必要があり、提出後に修了証が交付されます。

公衆衛生

  • 公衆衛生と衛生行政
  • 感染症

理容所の衛生管理

  • 衛生管理総論
  • 店舗の構造設備
  • 店舗の衛生管理
  • 消毒法とその用途
  • 理容業務に使用する医薬部外品等
  • 事故などの対応
  • 衛生管理計画と自主点検
  • 自主点検による問題点と改善策
  • 理容業に関わる各種の届出・申請
  • 衛生水準向上のための支援策

2024年度の管理美容師の試験日程は?

理容師美容師試験研修センターの掲載内容を元に、2024年度の全国の管理美容師資格認定講習会の日程や募集期間をまとめています。

都道府県によって、講習が開催される時期や回数が異なるので注意しましょう。

北海道エリア

日程募集状況
(第1回)
(第2回)
2月上旬公開予定
4月上旬公開予定

東北エリア

都道府県日程募集状況
青森県(第1回)2月上旬公開予定
岩手県(第1回)2月上旬公開予定
宮城県(第1回)5月上旬公開予定
秋田県(第1回)5月上旬公開予定
山形県(第1回)5月上旬公開予定
福島県(第1回)3月上旬公開予定

関東・甲信越・北陸エリア

都道府県日程募集状況
茨城県(第1回)4月中旬公開予定
栃木県(第1回)4月中旬公開予定
群馬県(第1回)3月上旬公開予定
埼玉県(第1回)(第2回)2月上旬公開予定2月上旬公開予定
千葉県(第1回)
1日目:5/7
2日目:5/13
3日目:5/14
(第2回)


1/30~2/6

7月上旬公開予定
東京都(第1回)
1日目:4/8
2日目:4/9
3日:4/16
(第2回)
1日目:5/13
2日目:5/20
3日目:5/21
(第3回)
1日目:6/17
2日目:6/24
3日目:6/25
(第4回)
(第5回)
(第6回)
(第7回)
(第8回)
(第9回)
(第10回)
(第11回)
(第12回)


1/16~1/23



2/13~2/20



3/21~3/28

3月上旬公開予定
3月上旬公開予定
3月上旬公開予定
3月上旬公開予定
4月上旬公開予定
9月中旬公開予定
9月中旬公開予定
9月中旬公開予定
9月中旬公開予定
神奈川県(第1回)
1日目:4/1
2日目:4/15
3日目:4/22
(第2回)
1日目:7/1
2日目:7/2
3日目:7/8
(第3回)
1日目:12/9
2日目:12/16
3日目:12/17

1/5~1/12(募集終了)



3/28~4/4



9/17~9/24
新潟県(第1回)5月下旬公開予定
富山県(第1回)5月下旬公開予定
石川県(第1回)5月下旬公開予定
山梨県(第1回)次回開催は令和7年度を予定
長野県(第1回)1月下旬公開予定

東海エリア

都道府県日程募集状況
岐阜県(第1回)7月上旬公開予定
静岡県(第1回)3月上旬公開予定
愛知県(第1回)
1日目:5/13
2日目:5/20
3日目:6/3
(第2回)
1日目:5/14
2日目:5/21
3日目: 6/4
(第3回)
(第4回)
(第5回)


2/19~2/26



2/19~2/26

6月中旬公開予定
6月中旬公開予定
9月中旬公開予定
三重県(第1回)5月上旬公開予定

近畿エリア

都道府県日程募集状況
福井県(第1回)次回開催は令和7年度を予定
滋賀県(第1回)4月上旬公開予定
京都府京都府美容業生活衛生同業組合にお問い合わせ下さい

大阪府
(第1回)
1日目:5/13
2日目:5/20
3日目:5/27
(第2回)
1日目:5/20
2日目:5/27
3日目:6/3
(第3回)
1日目:6/3
2日目:6/10
3日目:6/17
(第4回)
1日目:6/17
2日目:6/24
3日目:7/1
(第5回)
1日目:6/24
2日目:7/1
3日目:7/8
(第6回)
(第7回)
(第8回)
(第9回)
(第10回)


2/8~2/14



2/8~2/14



2/8~2/14



2/8~2/14



2/8~2/14

6月下旬公開予定
6月下旬公開予定
6月下旬公開予定
6月下旬公開予定
6月下旬公開予定
兵庫県(第1回)
1日目:8/19
2日目:8/26
3日目:9/9
(第2回)
1日目:9/30
2日目:10/7
3日目:10/21

5/8~5/14



5/8~5/14
奈良県(第1回)9月下旬公開予定
和歌山県(第1回)5月上旬公開予定

中国エリア

都道府県日程募集状況
鳥取県(第1回)4月下旬公開予定
島根県(第1回)次回開催は令和7年度を予定
岡山県(第1回)4月下旬公開予定
広島県(第1回)
1日目:5/13
2日目:5/20
3日目:5/27
(第2回)


2/5~2/20

4月下旬公開予定
山口県(第1回)3月上旬公開予定

四国エリア

都道府県日程募集状況
徳島県(第1回)5月下旬公開予定
香川県(第1回)5月下旬公開予定
愛媛県(第1回)5月上旬公開予定
高知県(第1回)5月上旬公開予定

九州エリア

都道府県日程募集状況
福島県(第1回)
(第2回)
(第3回)
(第4回)
2月中旬公開予定
2月中旬公開予定
2月中旬公開予定
2月中旬公開予定
佐賀県(第1回)5月下旬公開
長崎県(第1回)次回開催は令和7年度を予定
熊本県(第1回)4月中旬公開予定
大分県(第1回)5月中旬公開予定
宮崎県(第1回)7月下旬公開予定
鹿児島県(第1回)6月上旬公開予定
沖縄県(第1回)6月中旬公開予定

出典元:https://www.rbc.or.jp

まとめ

本記事では、管理美容師の資格がいつ必要になるのか、資格を取得するまでの流れなどを解説しました。管理美容師の資格を取得することで、衛生管理の専門的な知識をより深く知ることができ、安全な環境作りが行えるのでお客様やスタッフに安心感を与えられますよ。

2024年度の都道府県別の試験日程も併せて載せているので、いずれは独立したりキャリアアップを見据えていたりする方は、管理美容師の資格の取得を検討してみてくださいね。