美容師の方の中で、このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。一般的なアルカリカラーは使い慣れていても、塩基性カラーを使いこなせていない方も多いはずです。
そこで今回は、塩基性カラー特集を現役美容師の筆者が解説していきます。塩基性カラーのメリットやデメリットも併せて解説していきますので、改めて知識を深めていきましょう。
塩基性カラーとは?
塩基性カラーとは、塩基性染料やHC染料を主成分とする染毛料のことを指します。
塩基性染料
塩基性染料とは、染料の分子サイズが大きいので毛髪内部にまで浸透せず、髪の表面に吸着しイオン結合することで発色します。また、ダメージを受けていればいるほど、染まりやすい特徴があります。
アルカリを主成分とする染毛剤とは異なり、キューティクルを開かないので、髪と頭皮に負担なく低ダメージで染めることが可能です。
ダメージを受けている髪は、マイナス電子を帯びている状態なので、プラス電子を帯びている塩基性カラーと相性が良く発色も綺麗です。
塩基性染料
HC染料とは、分子サイズが小さいのでキューティクルの隙間から浸透します。
塩基性染料と同じく、キューティクルを開けるわけではないので、髪と頭皮へのダメージはほとんどありません。分子が小さいので、塩基性染料と比べて色落ちが早いのが特徴です。
塩基性カラーのメリットデメリットを紹介!
ここでは、塩基性カラーのメリットとデメリットを紹介していきます。
メリット

絵の具やペンキのように色が濃いので、アルカリカラーでは表現しにくい、ビビットな色を表現したいときにおすすめです。
高彩度で高発色が叶うところが、塩基性カラーの魅力です。アルカリカラーでは表現することが難しいピンク色や黄色も、塩基性カラーだとカラー後のシャンプーで染料が流れることなく綺麗に色が残ります。
重篤なアレルギー反応を起こす可能性がある「ジアミン」が配合されていないので、ジアミンアレルギーの方にも使えます。
そのため、ジアミンが配合されているアルカリカラーで、染められない方に需要があります。
お肌に不安を抱える方でも、安心してカラーができるのが塩基性カラーの最大の魅力です。
塩基性カラーは、脱色作用のあるアルカリ成分を配合していないので、髪を明るくする力はないですが、髪と頭皮への負担もほとんどありません。
また、キューティクルを傷めずにカラーができるので、手触りも良くツヤツヤに仕上がります。
デメリット
塩基性カラーは、キューティクルを開ける力もメラニンを削る力もないので、髪を明るくすることはできません。
そのため、伸びてきた新生毛は1度ブリーチをしてから全体オンカラーする必要があります。

塩基性カラーは、髪の内部にまで染料が浸透せずに、表面をコーティングしているだけなので、毎日のシャンプーで徐々に色落ちします。
髪の内部にまで染料を浸透させて染めるアルカリカラーと比べて、塩基性カラーは色の持ちが悪く、1〜2週間ほどで色味は抜けてしまいます。
ブリーチ後に頻繁にカラーチェンジをしたい方や、ダメージを受けたくない方におすすめです。
おすすめな塩基性カラー4選を紹介!
ここでは、おすすめな塩基性カラー4選を紹介していきます
カラーミューズ カラークリーム
資生堂プロフェッショナル COLOR MUSE

- 厳選した染料のみを配合した色調設計で思い通りの髪色へ
- 組み合わせ次第でビビット系からパール系の髪色を表現できる
- 専用アイテムのリムーバーでカラーチェンジができる
資生堂「カラーミューズ」は、アジア人の髪を鮮やかな思い通りの髪色にできるよう開発されたカラー剤です。
組み合わせ方は自由自在で、パキッとしたビビッドカラーだけでなく、ホワイトやクリアを色味に混ぜることで、パール系の色を表現することも可能です。
塩基性カラーと言えば鮮やかなビビッドカラーの印象でしたが、カラーミューズは混ぜることで幅広い色味を叶えられるところが魅力です。
専用アイテム「カラーリムーバー」を使うことで、気分にあわせてカラーチェンジをすることができます。
塩基性カラーは、髪に色素が残留しやすくカラーチェンジがしにくいので、専用の脱染剤があると安心ですね。
エノグ
milbon enog

- 同じシリーズのアルカリカラーとミックス使いができる
- シンプルな染色設計のため絵の具感覚で色づくりができる
- 大容量でコスパが良い塩基性カラーを探しているサロンにおすすめ
ミルボン「エノグ」は、「お客様の思い通りの髪色を作りたい」というコンセプトのもとで作られたカラー剤です。
適正アンダーレベルは、18レベル以上なのでブリーチオンカラー専用ラインナップです。
同じシリーズのアルカリカラーとミックスすることも可能で、シンプルな染色設計のため、絵の具の色作りと同じ感覚で自由に薬剤調合ができます。
色落ち後も色相が変化しにくく、褪色過程がキレイなので何度も髪色の変化を楽しめます。
従来の塩基性カラーは、アルカリカラーを重ねると変色の恐れがあるため注意が必要です。しかし「エノグ」は、同じシリーズのアルカリカラーとミックスしても変色しにくい染料を使っているので、重ね塗りしても問題ありません。
塩基性カラーを使ってデザインカラーの色幅を広げたいときにおすすめなカラー剤です。
ANAP カラートリートメント
ANAP

- トリートメントベースの塩基性カラー
- ファッションブランド「ANAP」とのコラボレーション商品
- ブリーチ後の傷んだ髪にツヤが欲しい方におすすめ
「ANAP」は、「森のバター」アボカドの実からとれるアボカドオイル配合により、髪にツヤとうるおいを与えながら色を補うカラートリートメントです。
天然成分ヒマシ油が毛髪をコーティングし、シルクプロテイン配合でブリーチで傷んだ髪を補修します。
全10色のラインナップがあり、クリアを混ぜることで色が薄まり、淡いカラーを表現することも可能です。高彩度で高発色な仕上がりなので、顔周りや耳周りなどの部分的に使うのもおすすめです。
エドル ヨヨ
LebeL edol

- 褪色過程がキレイで残留しにくいためカラーチェンジがしやすい
- 頭皮や皮膚は染色せずに髪だけを染められる
- ハイトーンカラーに力を入れていきたいサロンにおすすめ
ルベル「エドルヨヨ」は、高発色で狙い通りの仕上がりが叶い、色素の残留がないので次のカラー時に邪魔にならないところが魅力的です。
W染料ロックシステムと2種類のプレックス成分により、ブリーチのダメージを抑えて均一な染着を実現します。
カラーバリエーションは、全12色+クリアのラインナップです。アンダー18レベルに最適な染料濃度なので、鮮やかな高彩度を表現するのであれば1回もしくは2回ブリーチは必須です。
自然な褪色過程でムラなくキレイに抜けていくので、カラーチェンジがしやすい特徴があり、残留しやすいという塩基性カラーのデメリット部分を覆したカラー剤です。
まとめ
本記事では、塩基性カラー特集を紹介しました。ブリーチオンカラーがトレンドになりつつあり、高発色でビビットなカラーを表現できる塩基性カラーの需要は高いです。
メリットとデメリットをよく理解して、塩基性カラーを使ったハイトーンカラーにチャレンジしていきましょう。