- 肌が敏感なお客様に提案できるカラー剤を探している
- 染めるたびに頭皮が痒くなるお客様への対応方法が知りたい
美容師の中でこのようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
30代後半から50代にかけて徐々に白髪が増え始め、新生毛が伸びてきたら根元が気になり、マメに染める方も少なくないはずです。
頻繁に染めるからこそ、なるべく頭皮や髪に負担の少ないカラー剤で染めてほしいと思うお客様のニーズに応えたいですよね。
本記事では、頭皮に優しいグレイカラー5選を現役美容師の筆者が徹底解説していきます。よくある頭皮に関するお悩みや、沁みる方の施術時の注意点なども併せて解説していきます。
よくある頭皮に関するお悩みとは?

汗で蒸れて痒くなる
頭皮は、多数の髪の毛で覆われているため蒸れやすいです。とくに気温や湿度が高い季節は、頭皮に汗をかくことが増えるので、頭皮トラブルが起こりやすいです。
また、日光や紫外線を遮るために帽子を被る機会が増え、汗や皮脂が帽子内にこもることが多く、放っておくと雑菌が増殖して痒みやニオイの原因に繋がります。
帽子を被る場合は、通気性の良い素材のものを選ぶか、定期的に脱いで風通しを良くし、頭皮が蒸れている時間を少なくしましょう。
乾燥してフケがでる
頭皮も、顔や腕などと同じように皮膚でできているので、あらゆる外的要因によって水分が奪われると乾燥します。
暑い季節だと、紫外線や冷房などによってうるおいが奪われて、知らぬ間に頭皮がカサついている… ということも起こり得ます。
空気が乾燥している寒い季節だと、さらに水分量が低下しがちなので、しっかりと頭皮ケアを行わないと乾燥で痒みやフケを引き起こす可能性が高まります。
顔のスキンケアと同じように、お風呂上がりのタイミングに頭皮用の化粧水やミストを付けて、水分量を増やすことで乾燥を防ぐことができます。
また、シャワーの温度が高すぎると、必要な皮脂まで流してしまい、乾燥に繋がるので36°C〜37℃のぬるま湯で流しましょう。

頭皮のニオイが気になる
頭皮のニオイの主な原因は、過剰に分泌された皮脂を餌に雑菌が繁殖して皮脂を分解したり、皮脂が紫外線や空気に触れて酸化したりすることによるものがほとんどです。
頭皮には、顔のTゾーンの約2倍もの皮脂腺があり、多くの皮脂が分泌されています。
頭皮のニオイの効果的な対策法は、正しい洗髪方法で洗うことです。
泡立てを行う前に、お湯だけでしっかりと頭皮と髪の毛をすすぎ、汚れを落としてからシャンプーを行うことで、ニオイの原因となる皮脂や汚れを取り除くことができます。また、予洗いをしっかりと行うことで、その後のシャンプーの泡立ちが格段と良くなり、濃密泡でシャンプーを行うことができます。
洗髪後は、しっかりとタオルで頭皮を押さえて水分を拭き取ってからドライヤーで乾かしましょう。しばらく濡れている状態で放っておくと、湿っている場所を好む雑菌の寝床になりニオイの原因に繋がります。
頭皮トラブルがあるお客様への対応とは?
頭皮トラブルを抱える人の割合は、約6人に1人です。日々お客様の頭皮と髪に向き合う美容師は、何らかの頭皮トラブルやお悩みを抱えるお客様に対して、塗布の仕方やカラー剤の選択など、細心の注意を払う必要があります。
パッチテストは、薬剤を腕の内側に少量塗布して、アレルギー反応が出ないかを48時間経過観察をする方法です。
これまで何回も同じ薬剤で問題なく染め続けていても、アレルギーはある日突然起こることがあります。とくに体調が優れない時や、頭皮に違和感がある時は、ヘアカラーの48時間前にパッチテストをしてもらうようにしましょう。

カラー塗布前に、頭皮全体に保護スプレーを付けることで、頭皮と薬剤の間に膜を張ることができます。
そのため、薬剤で頭皮が沁みる方や湿疹や吹き出物のトラブルがある方には、保護スプレーを付けて保護しましょう。
沁みるのを完全に防げるわけではないですが、違和感や不快感を緩和してくれる効果があります。

ゼロテクとは、頭皮が敏感な方に行う技術で、頭皮に溜め塗りするのではなく、根元ギリギリから塗布する方法です。頭皮が敏感なお客様に有効で、グレイカラーでもファッションカラーでも対応可能です。
ジアミンアレルギーは、頭皮の薬剤が付くことで発症リスクが高まるので、ゼロテクを行うことで大幅に軽減することができます。
しかし、頭皮に薬剤を付けないため、グレイカラーのお客様には、白髪が多少残ってしまうリスクをお伝えしておきましょう。
しっかりとメリットとデメリットを事前に説明しておくことで、仕上がり後に根元の数ミリ白髪が残っている…というクレームを回避することができます。
また、目が細かいコームで少しずつブロッキングを取りながら、慎重に進めていく技術のため、慣れていない方は手早く塗布ができるように練習が必要です。
ヘアマニュキアやヘナカラーなどには、ジアミン系の染料が一切配合されていないので、ジアミンアレルギーの方や肌が敏感な方にも安心して使用できます。
しかし、刷毛やカップにジアミンが付着していると、アレルギー反応がでる可能性があるので他のカラー剤とジアミンフリーの薬剤で使う備品は分けておきましょう。
ヘアマニキュアやヘナカラーには脱色作用がないので白髪は染まっても黒毛を明るくすることはできません。そのため、明るさを変えたい・今後カラーチェンジをする予定がある方には不向きです。
また、ヘアマニュキアを継続して使用した後に、一般的なアルカリ成分配合の白髪染めに移行する場合、新生毛を除く中間〜毛先を明るくすることができません。
お肌に優しいメリットがある一方で、色抜けしやすい、カラーチェンジや好きな髪色にしにくい、などのデメリットがあるので、事前にお客様にご説明してから施術に入りましょう。

ヘアカラーの前に洗浄力の強いシャンプーを使うと、カラー剤から頭皮を守るために必要な皮脂までも取り除いてしまい、沁みる・痛みなどの刺激を感じやすくなってしまいます。
そのため、なるべく来店前のシャンプーは控えてもらうようにお客様にお伝えしましょう。
スタイリング剤を付けていた・汗をかいて気持ち悪いなど、どうしてもシャンプーを行いたい場合は、もこもこの泡で優しく包み込むように洗うことをおすすめします。
また、毛先にリンスやコンディショナーなどのコーティング剤を付けて来店されると、カラーの入りが悪くなるリスクが高まります。
一方で、過剰な皮脂が頭皮や髪に付着しているとカラーが入りにくくなるので、前日の夜にシャンプーを行い、当日は素髪で過ごされるのがベストです。
薬剤が沁みやすいお客様の施術中の注意点!

頭皮トラブルに繋がる要因の中で、シャンプー後にカラー剤が頭皮に残っており、痒くなったり、長時間経過してしまいアレルギー反応が出てしまったりすることが挙げられます。
そのため、頭皮全体をよく洗い、お流しも流し残しがないようにしっかり念入りに行いましょう。
放置時間中にカラー剤が沁みることは、ほとんどの方が感じる「感覚刺激」によるものなので、カラー剤をよく流すことで治まります。
また、頭皮にお悩みを持つ方には、二酸化炭素の含まれたお湯で流す炭酸泉がおすすめです。カラー剤の残留を防ぎ、アルカリに傾いたphを弱酸性に戻す効果があったり、頭皮や髪に付着した汚れをキレイに流してくれたりする効果があります。
頭皮に優しいグレイカラー5選を紹介!
ここでは、頭皮に優しいグレイカラーを5選紹介していきます。
LUVIONA(ルビオナ) LebeL(ルベル)

- 自然由来成分94%配合
- 低刺激で頭皮と髪に優しい
- 大人世代向けに開発されたカラー剤
ルベル「ルビオナカラー」は、40代〜50代の大人の髪と頭皮のお悩みに寄り添って開発されたカラー剤です。ヘアカラーだけでなく、エイジング毛と頭皮のケアも同時に行えるのが特徴です。
シア脂、マカダミアナッツ油、ローズマリーエキスなどの自然由来成分が94%配合されており、髪を労わって「これから10年、20年後も髪と頭皮を美しく保つ」ことをコンセプトに掲げています。
ブラウンベースの自然な色味が8色、低明度の3レベルから高明度の10レベルまで全42色揃っています。白髪にしっかりと色が入り、ツヤと深みのあるナチュラルカラーに仕上がります。
カラー前に同シリーズの「スカルプモイスチャー」を頭皮に塗布することで、カラー剤と頭皮に膜を張り沁みにくくするのと、うるおいを与えてエイジングケアが行えます。
カラーをしながら頭皮ケアもできるので、頭皮を気にするお客様にセット使いの提案がおすすめです。
PROSTEP(プロステップ) hoyu(ホーユー)

- 4種のナチュラル由来成分配合で髪と頭皮に配慮
- 同シリーズでグレイラインとファッションラインがある
- 染まりと色持ちが良くハイクオリティな仕上がり
ホーユー「プロステップ」は、海藻エキス・ツバキ油・海洋コラーゲン・アロエエキスなどの天然由来成分配合により、ヘアカラーによるダメージ負担を抑えて、光沢感とうるおい感あるツヤのある髪に仕上げるカラー剤です。
染料定着サポーターセトルオイルと染料流出ストッパースレオニン配合により、染料の髪への定着をサポートし、染料の流出経路である毛髪内の親水性部に作用し、毛髪内で染料流出のストッパー(ネット)となることで、洗髪時の染料流出を抑えます。
よって、白髪部分のカラーの色持ちが良くなり、なるべく長い期間キレイな発色を保つことができます。
同シリーズにファッションカラーラインがあり、頭皮に優しい天然由来成分配合は共通なので、揃えて導入しておくとさまざまなカラーのお客様に対応できます。
iNOA LOREAL PROFESSIONNEL(ロレアルプロフェッショナル)

- アンモニアフリーなのでカラー中のニオイに敏感な方にもおすすめ
- 主成分がオイルで構成されている
- 繰り返すカラーによるダメージに配慮
ロレアル「イノアカラー」は、約60%のオイルで構成されており頭皮と髪のダメージに配慮したカラー剤です。一般的なカラー剤は、アルカリ成分を多く配合しており、髪表面のキューティクルを破壊して染料を毛髪内部に定着させて発色します。
一方のイノアカラーは、オイルが髪表面に付着し、水に溶けた染料とアルカリ剤を毛髪内部に押し込んで浸透させます。
そのため、キューティクルを傷つけずにヘアカラーができるので、染めた後の手触り感が良くオイル効果もあってしっとり仕上がります。
繰り返すリタッチを、イノアカラーで染め続けると、ダメージをほとんど受けていない髪が育っていくので髪質改善が期待できます。
ブラウンを含む全63色の豊富なカラーバリエーションで、グレイカラーとファッションカラーのどちらにも対応できます。
白髪をしっかり染めたい方はブラウンを多めに、白髪をぼかして色味を楽しみたい方はMIX使いで、多彩なグレイカラーを表現できることが魅力的です。
milbon(ミルボン) Villa Lodola(ヴィラロドラ)

- 92%天然由来のオーガニック成分配合
- 美しい髪をキープしたい方におすすめ
- 頭皮への刺激を最小限に抑えている
ミルボンの「ヴィラロドラ」は、世界で初めてオーガニック認証カラーと認められたオーガニックカラー剤です。
低アルカリで身体に優しい成分が多めに配合されているので、頻繁に染めるグレイカラー世代におすすめです。染めたての美しいツヤ感や、色持ちの良さなどを実感した方のリピート率が高いです。
ヤシ由来のロウを配合しており、カラー特有の刺激臭を約70%カットすることで無香料化を達成。
毎回のカラー時間を心地良く過ごせることも、カラーに対してさまざまな不安や不満を抱える大人世代から人気の理由の1つです。
N.(エヌドット) napla(ナプラ)

- 染まりといたわり両方を叶える
- 天然由来成分配合により頭皮をいたわりながらカラーできる
- 5種の和草エキスにより刺激臭が少ない
ナプラ「N.グレイカラー」は、髪や肌に優れたコンディショニング効果を発揮するシアバターをはじめとする天然由来成分が多く配合されており、深い染まりと髪や頭皮に配慮した成分設計のカラー剤です。
3ステップの独自のティントロックシステム処方により、キューティクルをコートし、ティントロックポリマーによって毛髪内部から染料が流出するのを防いで、染めたての色を長く楽しむことができます。
5種のオーガニックハーブエキスと、保湿と毛髪保護効果に優れた6種類のナチュラルハーブエキスを配合。また、ボタニカルリフレッシャー効果のある5種の和草エキスにより、フルーティーな香りで快適なヘアカラー施術タイムを過ごせます。
まとめ
本記事では、頭皮に優しいグレイカラー5選を紹介しました。
髪や頭皮へのダメージを気にするお客様向けの薬剤を導入してメニュー化することで、お客様のニーズに応えることができ、新規客の集客にも繋がります。
へアスタイルの提供だけでなく、頭皮に優しい薬剤の使用や、塗布前の頭皮保護、自宅で行うケア方法のお伝えなど、お客様の頭皮環境を良好に保つ方法を伝えることも美容師の仕事の1つです。