美容室を独立開業するということは、自分の城を構えるということです。自分の想い・こだわりを反映したサロンにするためには、サロンの内装にはこだわりたい方も多いのではないでしょうか?
本連載では第22回より、候補物件を見つけてからの動きについて解説しております。
【Vol.22】候補物件についての詳細調査 【Vol.23】賃貸契約の流れと契約の注意点今回は「 内装工事の流れとスムーズに進めるポイント」について解説いたします。
「内装工事って、どのくらいの費用がかかるの?」
「内装工事の工事期間はどのくらい?」
「理想を一通り伝えたら、見積もりが高過ぎて流石に厳しい…安く抑えるポイントは?」
現在独立開業に向けて準備している方の中には、そんな疑問をお持ちの方も大勢いらっしゃるかと思います。
この記事ではそんな疑問に全てお答えしていきます。美容室の内装工事について何か疑問をお持ちの方はぜひご覧ください。
内装工事の費用
内装工事はサロンの雰囲気に大きく影響するため力を入れる方が多く、開業資金の40~50%程度の割合を占めることが多いです。
美容室の内装工事費用は、一般的に【坪単価20万円〜50万円】と言われていますが、以前の内装をほとんどそのまま使用できる居抜き物件の場合など、もっと安く上がる場合もあります。
物件の状態や内装のこだわり具合などによって、費用は非常にピンキリだと言えます。
① 新築・スケルトン物件の場合
新築物件・スケルトン物件の場合、工事費用は高額となります。坪単価30万~40万程度が平均です。
スケルトン物件とは「完全に原状回復が済まされている物件」のことを言います。前の店舗で使われていた内装・設備が何も残っていないまっさらな物件のことです。
新築・スケルトン物件の場合、工事費用はかさみますが、一から内装・設備を作っていきますので、理想のイメージを実現しやすい特徴があります。
②居抜き物件の場合
居抜き物件とは、以前の内装がそのまま残されている物件を言います。残っている内装をうまく利用することで工事費用を抑えることができ、平均は坪単価15万〜20万円ほどです。
どの程度内装に手を加える必要があるかで費用は大きく変わります。ほとんどの部分をそのまま利用できるような物件を選べば工事費用をかなり抑えることができるでしょう。
③改築の場合
物件の一部を改築する場合、費用は坪単価25万〜30万円程度が相場と言われています。そのまま利用できるところは利用しつつ、こだわりたいポイントは全面的に作りかえる方法です。
こだわりたい部分はイメージ通りに実現したいけれど、抑えるところは抑えて安くあげたい方におすすめです。
内装工事までの流れと工事期間
内装工事にかかる期間は、およそ1ヶ月程度をみておけば良いでしょう。もちろん、内装工事の範囲・規模によってかかる期間は変わります。
15坪〜30坪の新築・スケルトン物件の場合で、内装工事にかかる期間は2〜3週間ほどが一般的です。居抜き物件の場合、直す範囲が多くないのであれば3日〜1週間程度で終わることも多いです。
内装にこだわりがあり、特殊な工事が必要となる場合は工事期間が延びる場合もあります。オープン予定日に間に合うよう、施工業者とあらかじめよく相談・確認をするようにしましょう。
内装工事は一般的に、次のような流れで進んでいきます。
- イメージ・コンセプト決定
- 業者選び
- 物件選定・内覧
- 打ち合わせ・見積もり
- 物件確定・内装工事開始
順を追って解説していきます。
1. イメージ・コンセプト決定
お店のコンセプトをもとに、内装のイメージを明確にしていきます。特にこだわりたいポイントをハッキリさせておくことで、業者選びやその後の打ち合わせなどがスムーズに進みます。
自分のイメージに近い内装の写真などを用意しながら、イメージやこだわりポイントをハッキリわかりやすく伝えられるように準備しておきましょう。
お店のコンセプトについては、連載第3回にて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください!
2. 業者選び
業者を選ぶ際は、自分のイメージする内装を得意とする業者を探すと良いでしょう。内装業者のWebサイトなどに掲載された施工例を見て、感性が合いそうな業者をピックアップしてみましょう。
また、美容室の内装工事に慣れた業者であることも重視したいポイントです。いくら施工例の雰囲気が気に入っていても、美容室内装の設計・工事に慣れていない業者はおすすめできません。
美容室内装の設計・施工に慣れていて、かつその雰囲気が気に入った業者を探すようにしましょう。
3. 物件選定・内覧
物件選びはこの連載でも長きに渡りお伝えしてきた通り、非常に重要です。美容室開業がうまくいくかどうかは、物件選定で9割が決まってしまうと言われることもあるくらいです。
【Vol.12】美容室開業における不動産選定の重要性※物件選びのポイントなどは上記記事から数記事に渡ってお伝えしてきましたので、ここでは省略いたします。
ここでも一点だけ述べておきますと、物件選びの最終段階においては、依頼する内装業者の方とともに物件の内覧に行くと良いでしょう。
プロによる意見や、内装費用がどのくらいかかりそうかの目安をその場で知ることができます。物件探しは余裕を持ってスタートし、理想の物件が見つかるよう、納得いくまで努力してみましょう!
4. 打ち合わせ・見積もり
内装業者との打ち合わせの際は、イメージのすり合わせが重要です。イメージを言葉だけで伝え切るのは難しいため、イメージに近い写真などをふんだんに使って伝えていきましょう。
また、打ち合わせ内容をもとに、内装業者から企画プランや見積もりなどが提示されます。自分の予算に合わせて細かくすり合わせていきましょう。
後ほど詳しく解説しますが、素材を変えることで費用を安く抑えたり、高級感を出したりすることもできます。こだわりたいポイントに費用を集中的にかけ、目立たない部分は少し安い素材を使用するなどの選択肢もあります。
予算の中で最大限満足がいく店舗を業者と共にデザインしていきましょう。
5. 物件確定・内装工事開始
物件が確定し次第、内装工事が始まります。「完成してみたらイメージと違った」などということがないよう、定期的に現場に足を運ぶと良いでしょう。
費用を抑えてスムーズに内装工事を進めるコツ
理想とする店舗を実現しようとすると、思っていた以上に工事費用がかかってしまうこともあります。内装工事の費用を抑えるためには、次のようなポイントを抑えましょう。
『内装工事の費用を抑えるポイント』はこちらです。
- 費用の上限をあらかじめ決めておく
- 全ての作業を一括で依頼できる施工業者を選ぶ
- 相見積もりをする
- お金をかけるポイントを絞る
順に解説していきます。
費用の上限をあらかじめ決めておく
まず大切なのは、費用の上限をあらかじめ決めておくことです。上限を決めておかないと、どうしても高額になってしまいがちになります。
開店後の運用を見越し、余裕を持って予算をきめておきましょう。
全ての作業を一括で依頼できる施工業者を選ぶ
内装業者には、このような種類があります。
- 設計デザインのみ行う業者
- 施工のみ行う業者
- 設計デザインから施工まで通して行える業者
一括して行える業者を選ぶことで工期が短く済みやすく、コストもかなり安くなることが多いです。業者選びの際の大切なポイントの一つです。
相見積もりをする
業者選びの際は一社だけに決めて見積もりしてもらうのではなく、複数の業者に見積もりを出してもらって比較検討するようにしましょう。
このように複数者に見積もりを取ってもらうことを相見積もりといい、リフォームや引っ越し、Webサイトデザインなど、相場が不明瞭なことを業者に依頼する際に必ず行うべきことです。
相見積もりをすることでより安く施工してもらえる業者を探せるだけでなく、複数の業者のサービスや人柄なども直接比較できますし、他社の見積もり額を知ることで値段交渉もしやすくなります。
知り合いやお得意様の内装屋がいるなどの事情がない限り、必ず相見積もりをするようにしましょう。
お金をかけるポイントを絞る
こちらは先ほども少し述べましたが、費用をかけるべきポイントと抑えるポイントを決めておくと良いでしょう。
お客様から目に入りやすい入り口付近やセット面などはこだわり、目立ちにくい箇所は安い素材にするなどの方法があります。例えば、レジカウンターやセット面は本物の木を使用するけど、床材や壁材は木目調のシートを使用すると費用を抑えられるでしょう。
まとめ
- 内装工事にかかる期間はおおよそ1ヶ月程度と考えておくとよい
- 内装費用の相場は30〜50万円程度。居抜き物件ならもっと安く抑えることも可
- お店のコンセプト・イメージをはっきりさせておき、写真などを使って業者とイメージを確実に擦り合わせる
- 費用の上限を決め、こだわりたいポイント、費用をかけるべきポイントを決めておくと良い
次回は「什器、備品の購入」について解説していきます。この連載があなたの美容室開業の助けになれば嬉しく思います。