【Vol.17】物件探しの2つの方法 | 不動産屋で探す・内装屋に依頼する

ー美容室経営成功の鍵を握る、不動産選定

独立開業したサロンが成功するか否か、70%以上を決めると言われる不動産選定。この連載では、第12回より不動産選定について解説しています。

また、コラムにて実際の商圏や駅についてのリサーチを行ったレポートを公開しています。

ここまでは物件探しのポイント等をまとめてきましたが、ここからは不動産屋などを利用して物件を探していく具体的な方法について解説していきます。

多くの方にとって独立開業は初めての経験で、店舗選びを実際にどう進めれば良いのかわからない人も多いのではないでしょうか?この機会に本記事で一緒に勉強していきましょう。

それでは早速解説していきます。

物件探しの2つの方法 | 不動産屋で探す or 内装屋に依頼する

美容室の店舗を探すにはどのような方法があるのでしょうか? 何かしらのつてがある方、自分の土地に店舗を新築で建てる方を除けば、次の2通りの探し方が一般的です。

  • 不動産屋で探す
  • 内装屋に依頼して探してもらう

1. 美容室の店舗探し2つのパターン

「店舗探しをしよう」と考えたら、多くの方はまず「不動産屋へ行く」か「ネットで物件を探してみる」のではないでしょうか?

ネットで探す場合も不動産屋のサイトによって探すことになるわけですから、結局のところ流れとしてまず【①不動産屋で物件を探す→②内装屋に店舗デザインを依頼し施工してもらう】という風になるわけです。

しかし実は、「内装屋に店舗探しも含めて依頼する」という選択肢もあります。内装屋は独自のネットワークを持っており、スピーディーに候補物件を探すことができると言います。

それではどちらの方法が良いのでしょうか?

2. どちらの方法が良いのか?

物件探しには2つの方法があるわけですが、どちらにもメリットとデメリットがあります。一概にどちらが良いと決めることはできません。どちらの方が良いかはその人その人の立場・考えによって変わってくるわけです。

どちらが合っているかは「美容室の完成イメージ」に大きく依存します。

また、既に出店の経験はあるのか、今後の事業展開をどのようにしていきたいのかなども考慮すべきポイントです。

それでは、それぞれの方法のメリットとデメリットを確認していきましょう。

内装屋に依頼するメリット・デメリット

まず、内装屋に依頼して物件を探してもらう場合からみていきます。

内装屋に依頼するメリット・デメリットを簡単にまとめると次の通りです。

メリットデメリット
・スピーディーに物件探しができる・予算が高くなりやすい
・物件探しのノウハウが貯まらない

では詳しく見ていきます。

内装屋に依頼するメリット

内装屋に依頼する大きなメリットは「スピード」です。内装屋は独自のネットワークを持っており、スピーディーに候補物件を探すことが可能です。

また、内装屋と連携を取りながら物件探しをすることで、完成イメージについて相談しながら候補物件を見ることができるメリットもあります。

完成イメージがしっかりしており、こだわりのデザインを実現できる内装屋が少ないのであれば、初めからその内装屋と連携を取りながら物件探しをすることで、段取りよく理想の店舗を実現することができるでしょう。

内装屋に依頼するデメリット

逆にデメリットとしては「費用面」が大きいです。内装屋に依頼して物件を見つけてもらった場合、そのままその内装屋に内装工事も依頼することになってしまうため、施工業者選びの相見積もりをとることができません。

見積もりとは?

複数の業者に見積もりを依頼して、完成イメージや費用、納期などを比較検討して発注する業者を決めることを言います。相見積もりをすることでより費用の安い業者を探すことができる上、価格競争となりますので値段交渉もしやすくなります。

内装屋に物件探しから依頼してしまうと相見積もりをとる機会がなくなってしまうため、このようなメリットを受けることができなくなってしまうのです。

また、自社内に物件探しのノウハウを蓄積できないということも、2店舗目、3店舗目を考えている場合デメリットとなりなり得ます。

1店舗目を内装屋に物件探しから依頼した場合、次回もまた内装屋に依頼することになるでしょう。

不動産屋で探すメリット・デメリット

それでは逆に、不動産屋を利用して探す場合のメリットとデメリットはどうでしょうか? まず簡単にまとめると次の通りです。

メリットデメリット
・物件選択の幅が広がり、妥協なく探すことができる
・内装の相見積もりができる
・物件探しのノウハウが蓄積できる
・非常に時間がかかる

不動産屋で探すメリット

不動産屋を利用して自分の足で探す場合、時間さえあれば「納得いくまで物件探しができる」ため物件探しの幅は非常に広がります。これが1つ目のメリットです。

2つ目のメリットは「相見積もりが可能な点」です。決めた物件に対して内装工事を依頼する内装業者を相見積もりで選ぶことができるため、費用を抑えることができます。

また、相見積もりは費用を抑えたい場合だけでなくデザイン面で比較し業者選びをしたい場合も有効です。

内装業者によっても得意とするデザインに違いがありますので、内装に強いこだわりがあるけどどの内装屋に依頼すべきかわからない場合も相見積もりは有効な方法と言えます。

3つ目のメリットは「物件探しのノウハウが自社内に貯まる」ことです。複数店舗展開を見越している場合、1店舗目は苦労してでも自分で物件探しを経験しておけば、次回以降はその経験を活かした店舗探しが可能です。

2店舗目、3店舗目と拡大を見越しているのなら大きなメリットと言えるでしょう。

不動産屋で探すデメリット

逆に不動産業者を利用して探すデメリットは「とにかく時間がかかる」ことに尽きます。多くの場合、物件探しの仕方も選び方もよくわからないところからのスタートであり、そんな中自分の足を使って物件・不動産屋を回っていく必要があるため、非常に時間がかかります。

特に、解約予定物件を探したい場合はなおさら時間がかかることを覚えておくと良いでしょう。

メリット・デメリットは立場によって異なる

物件探しの2つの方法について、メリット・デメリットを紹介しましたが、結局のところは立場によって何がメリットとなり、どんなことは大したデメリットにならないかは変わってきます。

例えば、相見積もりについて考えてみましょう。デザインに強いこだわりがあり、特定の内装屋がそのデザインを得意としていることがわかっているのなら、その内装屋に物件探しから依頼するとメリットは大きいと言えるでしょう。

しかしデザインにこだわりがない場合や、いわゆる一般的なデザインの美容室を考えているのなら、内装屋に特別こだわる必要はなく、それなら相見積もりで費用を抑えた方がメリットが大きいと言えます。

また、スピードについてはどうでしょう。オープン予定日はまだ決めてなく、じっくり時間をかけて物件探しを進めていくつもりならスピードについてはメリットもデメリットもありません。

逆にオープン予定日があらかじめ決まっており、物件探しにいつまでも時間を使うわけにいかないのならスピードの速さは大きなメリットとなります。

費用面についてはどうでしょう?初めての出店で内装工事の相場が検討つかないのであれば、相見積もりをする価値は大きいです。しかし内装屋とのつてがあったり、既に複数店舗をオープンしていて内装費用の相場が分かっているのなら相見積もりはしなくても問題ありません。

このように立場によってメリット・デメリットは変わってきます。自分にとって最適な選択肢はどちらなのか各自で判断することが大切です。

1店舗目をどちらで探すべきか?

それでは、1店舗目の物件探しをしたい場合はどちらの方が向いていると言えるでしょうか?

前章で見た通り立場によってメリット・デメリットは変わりますので、それを踏まえてどちらの方が向いているのか考えてみましょう。

不動産屋で探す方が向いている方

次のような方は不動産屋を利用して自分で探す方が向いていると言えると思われます。

  • じっくりと時間をかけて物件探しをしたい方
  • 内装デザインに強いこだわりがない方
  • 内装工事の相見積もりをしてコストを抑えたい方
  • 複数店舗展開を見越していて、物件探しのノウハウを知りたい方

内装屋への依頼が向いている方

逆に、内装屋へ依頼するのが向いているのは次のような方でしょう。

  • スピーディーで手間なく物件探しをしたい方
  • デザインに強いこだわりがあり、内装屋と協力して物件を探したい方
  • 相見積もりをしなくても内装工事の適正価格を自分で判断できる方
  • 既に物件探しのノウハウを持っている方

まとめ

以上、今回は「物件探しの2つの方法」について解説いたしました。

今回の内容をおさらいしておきましょう。

  • 物件探しをする方法は「不動産屋で探す」または「内装屋に探してもらう」という2つのパターンがある
  • それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらの方が向いているかは立場・状況によって異なる

1番のポイントは、【スピード・物件選択の幅・コスト・ノウハウの蓄積】という観点で評価を行い、物件探しを不動産屋に依頼するのか内装屋に依頼するのか決めるということでしょう。自分の今後の展開予定に合わせた最適な選択肢を検討しましょう。

次回は「不動産の種類と訪問の前準備」について解説いたします。

この連載があなたの美容室開業の助けになれば嬉しく思います。